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いしつ。

 

本棚でひときわ異質を放つ本があったら、それはほむらさんの本だ。

 

おかげでどんな古本屋さんに行っても、ほむらさんの本はたやすく見つけることができる。

 

 

喫茶店のメニュー「ヨーグルトポムポム」が恥ずかしくてなかなか

店員さんに言えなかったり。

 

五百円玉貯金箱にうっかり一円を落としてしまい、

五百円玉貯金箱の「純潔」が失われてしまった、と嘆いたり。

 

深夜の通販番組で、「キュッパ」に怒りを覚えたり。

 

 

ほむらさんはずいぶん忙しい。

 

 

ある時は、シューマイにグリーンピースが乗っていなかった。

そして、ほむらさんは気付いた。

 

そうか、記憶を消されたんだ。

 

シューマイにはもとからグリーンピースが乗っていない世界に来たんだ。

だが、記憶を消した奴らにも落ち度があった。

 

それは、シューマイにはグリーンピースが乗っているもの、という

僕のいた世界の記憶を消していなかった事――…。

 

 

 

一歩間違えるとアブナイ人。

 

ほむらさんは「普通」と「異質」のふたつのシーソーを

跳ねるようにピョンピョン飛んで、あっという間に

「おかしさ」の渦を作ってしまう。

 

 

「にょにょにょっ記」は、日記調に綴られた現実と妄想のあわいである。

現実にいるのに、違う世界にいるような錯覚。

 

ほむらさんは、やっぱり異星人なのではないかと睨んでいる。

 

 

 

「にょにょにょっ記  /  穂村弘・フジモトマサル」